学部時代、ある午前。

 多分戸山キャンパスの32号館の広めの教室。嫌いな先生が文学入門みたいな講義やってる。リアクションペーパーにはpreverbsとapplicativesの定義などについて書いた。日本語で書いたか英語で書いたか覚えていない。なぜリアクションペーパーを書くのに印鑑を要請されるのか。詐欺か。「『紅い花』読んだこと無い人?」と先生が教室に聞いた。手は上がらない。そりゃそうだ、日本の学校だもの。すると先生が言う、「近頃の若い人は全然文学読まないと思ったんだけど…」まじで言っているの、この人?全部日本人だから手が上がらないんだと気づこうよ(わざとかも知れんけど)。ここで前の方でちらほら手が上がり始める。俺も上げる。先生が実物を持ってきていた『紅い花』は旧い文芸雑誌で、自分が以前読んだガルシンの小説のことではなかった。


 講義が終わり、2限の授業のため本キャンまで移動。一緒に歩いている男に自分の知っている『紅い花』の話をする。木が並ぶ本キャン内に入った頃には一人で歩いている。友達はない。力無くとぼとぼと歩く。1限の先生が調子に乗って授業をかなり延ばしていたため2限遅刻は確定していた。ただでさえ、あの、10分で間に合う距離じゃない。ゆっくり歩く。


 やがて、法学部の建物みたいな所、大きな講義室に入る。『音楽方法論』という授業である。料理の次は音楽か。コンサートホールみたいに広いが、左の方の、気持ち前の方の席に腰を下ろす。プリントの種類がやたら多い。いちいち封筒の中に入っている。封筒に知っている名前を見つける。プリントが足りない。長身のTAに助けを求める。厳格そうな男性教授、慈悲は無いと思いきや、プリントをもらえた。講義室に入った時に教壇にいた女性教授は消えていた。胸に付ける番号札をもらった。41。後ろに座ったお洒落な三人の女の中に7を持ったのがいたので席を交換した。


 現実感がある方の夢。